あぶ By あぶ

 笑わない女(ひと)


わたしがここ数年時々行っている施設の受付にいつもいる一人の女性

いつでも受付の業務を淡々とこなしてしている
でも、あるときからふと気がついたことがある
その女性はいつ行っても何を話しても一度も笑顔を見せたことがない
しかも他の誰と話していても笑顔でいる様子を見た事がない

つまり笑ったところを見たことがない

ある時からその女性は笑ったりするのかな〜
ということが非常に気になってしまうようになり
芸人でもないけどなんか面白いことでも言って笑わせてみようかなとか
なんて声をかけたら笑顔で答えてくれるんだろうとか考えてみたりするようになっていた

何ども言葉を変えて挨拶をしてみたりしてみたけど
何を言ってもニコリともせず業務を淡々とこなすだけ
人がたくさんいて忙しそうな時でも
わたし以外にだれもいなくてゆとりがありそうな時でも

いつでも変わりなくそこには笑顔はなかった

そんなことを考えていたことすら忘れてしまうくらい久しぶりに行った今日
慌ただしく時間に追われて行ってこともあり
特に「笑顔」のことなんて考えることもなくいつものように受付をすませ
再び帰りに受付に行った時に何気に
「いつもありがとうございます^^」と言うと
今まで見たことがなかったし想像もしていなかったような笑顔で
「こちらこそ、いつもありがとうございます!! ^o^」と帰ってきた

キ、キターーー!!

ただただ、いつものように一言
「いつもありがとうございます!!」と声をかけただけなのに・・・

ただ忙しくて笑っていなかっただけなのか
ただ気分が笑えないだけだったのか
今まではなんだったのかなんてわからない
でも、わたしなんかが笑わせようなんてことしなくても
別のところや他の人の前では笑っていたかもしれない
真面目に仕事しているときは笑わないだけかもしれない
たまたま笑わないだけだったのかもしれない

そもそも
人は誰でも泣いたり笑ったり怒ったりすることを
知っていてそれを自然にできる生き物であるわけで
たとえ何かがあって笑わなくなっても
泣けなくなっても
怒らなくなっても
それらを知っていて自然にできる生き物だから
そうしたくなったらそうするものなんだよな〜

かつて、いろんな出来事が立て続けに起き
厳しく苦しい中でも耐えなきゃと思っていた頃に
もう10年くらいわたしが全く「笑わなくなった」と心配していたわたしの母

そんな時期にカミさんと結婚してはじめて実家に家族で帰ったときに
「あのこがあんなに笑っているのを本当に久しぶりに見た・・・
今は本当にあの子は幸せなんだと思う・・・恵美ちゃんで本当に良かった 本当にありがとう」と
涙を浮かべカミさんの手を握ったという。

そんな母が亡くなってもうすぐ四十九日
どんなときでも「わろとかんね(笑っておきなさい)^^」と言葉をかけてくれた母に
わたしたち家族の笑顔を見てもらことができて本当に良かったと思う
これからも安心してわたしたち家族を見守っていてくれるだろう

自然に笑顔は溢れるもので笑わないひとなんてきっといなんだと思う
自然に涙は流れるもので泣かないでいられるなんてきっとないんだと思う
自然に怒りはこみ上がるもので怒らないでいられるなんてきっとできないんだと思う

たとえそれができない時や時期があったとしても

いつかきっと戻って来る

人間はそれらの本当の意味を知っている生き物だから

あぶ
あぶ
About me

アイスが大好き48歳、写真家

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