家族というもう一つのチーム

油原 愛悠 選手 / SeezooハスクバーナELF

全日本モトクロス選手権シリーズに参戦している選手たちの活動には大きく分けると2つのチーム体制がある。 一つは、バイクメーカーが結成したチームで、通称「ワークスチーム」とも呼ばれ、マシンはもちろんのことスタッフをはじめすべての環境がメーカーによって整えられたチームでの体制で、実質的にはバイクメーカーの数以上はなく数チームである。そしてもう一つが、企業や個人で結成したチームで参戦しているプライベートチームの2つに分けられ、ワークスチーム以外のすべてのチームがこれにあたる。 プライベートチームにおいてはその形態は様々で、マシンやパーツのメーカーや様々なスポンサーにいろんな形でサポートを受けながら活動している。中にはメーカーや企業などのサポートを受けずに活動しているチームや選手もいる。
全ての選手たちが様々なサポートを受けながら活動していく中、常に側で支え応援している家族の大きな力に支えられている。ワークスの選手たちはプロのスタッフに囲まれていることが多くその様子を伺える機会は少ないかもしれないが、その存在はとても大きく、選手たちの大きな力となっている。プライベートチームの選手たちはその活動そのものを家族が担っていることも多く、パドックではそんな様子がいたるところで見ることができる。 これもまた、プライベートチームの大きな魅力とも言える。

今シーズン、全日本モトクロス選手権シリーズ レディースクラスに SeezooハスクバーナELF から参戦することが決定している油原 愛悠(あゆ)選手。
SeezooハスクバーナELF からHusqvarna TC85 を駆り、家族という大きく力強いサポートを受けながらシリーズに挑む。

 

 

SeezooハスクバーナELF 油原 愛悠選手

茨城県の某県立高校へ通う油原選手。間も無く卒業を迎え、新たな環境でさらに学びながら今シーズンも再び SeezooハスクバーナELF から全日本シリーズへ参戦する。
「昨年は、シーズン序盤に初めて大きな怪我をしてしまい、その後なかなかリズムを取りもどせなくて空回りしてしまったような、そんなシーズンでした。今シーズンはもっと頑張りたいです。」優しく微笑みながらそう話してくれた油原選手。
とてもおとなしく「バイクに乗るようには見えないね?」と言うと「よく言われます」と照れ笑いを見せ、風になびく髪を抑えながら「髪が〜」とさすがに女子高生らしい笑顔も見せてくれた油原選手。
そんな彼女も、ヘルメットを被るとまるで別人かのような走りを見せ、これまで紹介してきた選手たち同様、およそ想像はつかない。しかし、ヘルメットの奥に覗く目には自らの目標に向かって活動している強い意志が伺える。

 

油原 愛悠選手

6歳からバイクに乗り始めた油原選手、モトクロスを始めたきっかけは父、修文(なおふみ)さんだったという。もともとバイクが好きで、自らも乗っていた修文さんは、子供たちもバイクに興味を持ってくれたらな〜そんな思いから、「バイクを買って家に置いておけば、もしかすると娘たちも興味を持ってくれるかもしれない・・・そう思い50ccのバイクを買って帰っちゃったんです。」と照れ臭そうに話してくれた。
そんな修文さんの思いは届き、はじめに当時5歳だった妹の玲奈(れな)さんが「乗りたい」と言いだし、始めは家の周りで乗っていたのが、もっと広いところで・・・という事になりコースへ! いつの間にか当時6歳だった油原選手も乗るようになり、気がつけば油原選手は全日本シリーズへと参戦するまでになっていた。
そんな様子をずっと側で見守ってきた、母、智恵(ともえ)さんは「やっぱり怪我は心配です、でも本人が走りたいって言えば応援したいです。レースの時のスタートは未だにドキドキしますよ」と、練習中の油原選手をコース脇で見守りながらそう話してくれた。

 

油原 愛悠選手

「気がつけばもう12年もバイクに乗ってました。」と油原選手、修文さんも「最初のきっかけを作ったのは私ですから、娘が納得するまで、最後まで応援し続けます。」と二人とも笑顔で語ってくれた。 家族4人とも、穏やかでちょっと照れ屋な油原さん一家、しかし、レースに対してはとても真面目で熱い思いをそれぞれが持っていて、まさに「家族というチーム」そんな印象だった。

油原 愛悠選手

油原選手はSeezooハスクバーナELFの選手としてチームに所属しているため、レース会場に入ればチームのパドックに本番用のマシンも準備してあり安心してレースに参戦できる。しかし、普段の練習はマシンの調整をはじめあらゆる部分で修文さんがしっかりとサポートし、北は岩手県から南は熊本県にある全国各地のレース会場までは修文さんの運転する車で家族4人で移動し、そしてチームと合流する。レースが始まっても智恵さんと、玲奈さんのサポートの中、湯原選手は毎戦スタートラインに並んでいる。
所属チームからのサポートと家族という最強のチームで今シーズンも挑む油原選手の様子を見ていたら、かつてWGPでコンチネンタルサーカスと言われた時代のヨーロッパ各地を転戦する選手や家族のようなスタッフたちの、ストイックでもありそれでいてアットホームでもあるそんな様子を思いだした。

油原 愛悠選手
油原 愛悠選手

 

妹の玲奈さんは、全日本でのレース活動こそはしていないものの、イベントなどでは出走している。油原選手と一緒に練習をしているだけにその走りはモトクロスライダーそのもので、一緒に走ったりすることで油原選手の重要なペースメーカーの役割も果たしているかのようだ。

油原 愛悠選手
油原 愛悠選手
油原 愛悠選手

 

 

油原選手がよく練習する千葉県の富津SSランドはサンドコースで、本人も走り込んでいる事もあり「全日本でもサンドコースが好きです」と言っていた。砂質独特のトラクションコントロールは雨のコンディションでのマシンコントロールに似ているのか、昨年は雨による悪コンディションでのレース成績も良かった。 あらゆるコンディションでマシンをコントロールできるということは、安定した成績を生み、結果シーズンの成績にもつながる。日頃の練習と、レース本番の経験が、今後ますます油原選手のポテンシャルを上げていくことだろう。
今シーズン、新たな生活環境の中で自ら課した目標に向かってさらに進化する油原選手の活躍に注目したい。

油原選手はSeezooハスクバーナELFに所属していることもあり、3月23日~25日に開催される東京モーターサイクルショーのHusqvarnaのブースで会えるという情報も!
そんな油原愛悠選手を応援に行くのもまた楽しいだろうと思う。

 

油原 愛悠選手

 

 

今回取材にご協力いただいた富津ssランドは、千葉県富津市にある「親子で楽しめるモトクロスコース」をコンセプトとした会員制特設オフロードコースである。交通の便も良く、AMAMXを思わせるようなワイルドな風景に囲まれたロケーションも最高な場所で、 富津市の協力のもとに運営されている。近隣住民を始め隣接する運動公園への影響を考慮したルールやマナー、走行台数の制限等考慮された環境の良いコースである。ご利用の際はあらかじめお問い合わせ・ご予約をすることをオススメです。


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